2009年5月3日日曜日

パピーウォーカー

私の知人に長年盲導犬となる子犬を預かるパピーウォーカーをしている方があります。乳離(ちばな)れした2,3ヶ月の子犬を預かり、一歳まで育てるボラン ティアです。将来盲導犬として訓練を受け、人間と良好な信頼関係を作るために、無条件で人間に愛される経験が子犬に必要なのだと聞いたことがあります。

子犬はトイレ訓練も必要ですし、やんちゃでイタズラも一杯。皮のソファがメチャクチャになったとか、まともなスリッパは一つもない、などなど、明るく話すその知人が毎回経験する「苦労」を思うと、ただただ「すごいな・・・」と思う私でした。

先日の新聞に、島根県にある、官民の共同運営するPFI方式の刑務所「あさひ社会復帰促進センター」で、受刑者たちがこのパピーウォーカーに取り組むことになったとありました。

<PFI刑務所>盲導犬育成、本格スタート 受刑者「やっと会えた」--島根(毎日新聞) -

刑期1年以上8年未満の初めて刑務所に入った男性の受刑者への更正プログラムで、子犬を育てることを通しての社会貢献を目的としているようです。

後日、この記事の「続編」として新聞に掲載された記事がありました。受刑者は自分の独房で寝食を共にしながら子犬を育てています。週末はパピーウォーカーに預けるのだそうです。「週末はゆっくり眠れるという安心が2割、寂しさが8割」という受刑者のことばがありました。

かわいい盛りの1歳の犬を手放すのは、このボランティアの「宿命」です。それを十分に理解した上で、盲導犬の育成に関わるパピーウォーカー。それぞれのパ ピーウォーカーの生活がどんな状況であったとしても、子犬とのふれあいの素晴らしさがこの活動を支え、パピーウォーカーそのものも支えてているのでしょ う。

子犬の柔らかな眼差しは、何にもかえがたいもの。たとえイタズラに声を荒(あら)げることがあったとしても・・・・



PS:PFIPrivate Finance Initiative)とは公共サービスの提供に際して公共施設が必要な場合に、従来のように公共が直接施設を整備せずに民間資金を利用して民間に施設整備と公共サービスの提供をゆだねる手法。

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