2009年1月3日土曜日

年越し派遣村

元旦の朝日新聞一面に「ひとりじゃないよ」という見出しで、東京日比谷公園の年越し派遣村と大阪の扇町公園でのボランティアによる炊き出しの記事と写真が掲載されていました。

2日の夜のニュースによると、日比谷公園では収容しきれなくなった人たちが開放された厚生労働省の講堂に5日早朝まで宿泊できるようになり、東京中央区では廃校になった二つの小学校を開放することを決定したとか。

大きな災害があると実施される炊き出しやテント村ですが、今回、失業した人たちの多くは、災害に遭遇したと感じているのかもしれません。不安定な雇用状況の中、突然、職と住むところが奪われるのは、確かに「災害」と言えるのでしょう。

12月31日の京都新聞に、埼玉大学名誉教授の暉峻淑子(てるおかいつこ)さんの記事がありました。東西ドイツ統一後の時期、東ドイツでは失業者があふれていたそうです。

「激変の中にもそこには答えてくれる社会、対話できる社会があった」として、アパートの隣人にさりげなく手を差し伸べる主婦のことや、政府や自治体に対して新しい仕事をつくる交渉をする失業者たち自身の動き、失業者の活動に対して、会議の部屋を提供したり、定期的に相談に乗る労働組合など、色々紹介されていました。

街で残したい歴史ある建物を修理する仕事、青少年が気軽に集まれる場所や相談所をつくる仕事、老人向けの有機野菜の食堂の経営、不要品の交換所で雇用を生みだす、などが新しい仕事として考えられたとのこと。

「ここでは誰かが助けてといえば、必ず支えがある社会です。見捨てられることはない」との失業者のことばがうらやましかったと暉峻さんは書いています。

大晦日からお正月にかけて、「ひとりじゃないよ」という気持ちを持って集まった多くのボランティアたち。大きな社会の変化の中で、何かが生まれてくる動きが日本にも出てきた、そう信じたいものです。

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