2012年11月16日金曜日

「天のしずく」

2,3年前だったと思います。ご近所の京都精華大学のアッセンブリーアワーでのこと。

「そこの、あなた、お帽子をお取りなさい。話を聞くときに帽子をかぶっているのは失礼ですよ」

張りのある声で大学生に話しかけたのが辰巳芳子さん。講演前のこのコメントで、聴衆の背筋が伸びたように感じた私でした。

お母さまの辰巳浜子さんが着物姿にたすきをかけて、NHKの「きょうの料理」に出演していらした頃から、お名前は知っていました。

お父さまが嚥下障害(えんげしょうがい)で食事ができなくなった時に作りだされたスープ。海と山と畑の恵みを混然一体とし、もっとも吸収しやすい形にしたこのスープは、「命のスープ」として、全国に広がり、保育園の小さな子どもたちや入院している終末期の患者さんにも届けられています。

辰巳芳子さんの日常を丁寧に撮影した映画「天のしずく」。http://tennoshizuku.com/
食材の「いのち」を愛(いと)しみ、丁寧に食事を作る。それは食べてくれる人への愛の表現そのもの。たとえ自分だけの食事であっても、この気持は忘れてはいけないと教えてくれます。

静かな映画は、お料理がたっぷり並んだ食卓で、「さあ、いただきましょう」という辰巳さんの声で終わりました。これからも丁寧な生活が続いていくのを予感させながら・・

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