以前、京都のライトハウスで朗読ボランティアをしていた時、目の不自由な方が、「私はテレビを見ていますよ」とおっしゃったのです。思わず「えっ?」と言った私に、「テレビは見るものでしょ?」との答え。確かにそうなのですが・・・
途中で失明された方は、以前の記憶から、色や形が想像できるのでしょうが、生まれつきの全盲となると、私たちが何気なく「見ている」ものは、どのように理解されるのでしょうか?
全盲のピアニスト、辻井伸行(のぶゆき)さんが、アメリカで開催された「バン・クライバーン国際ピアノコンクール」で優勝。大きなニュースとなっています。
視覚の世界が閉ざされている辻井さんに、お母さんは幼い時から、多くのことばで、世界を語って聞かせたとか。美術館では、作品ごとに立ち止まり、目の前の芸術の色、形、様子を説明したとあります。
「花火に行っても、心の中で色とりどりの花火が開く。母のおかげで、何でも心の目で見られるようになった。不自由ではありません。」
目 で見ている、見えている・・・と思っている私たちには想像できない、もっと豊かな世界が彼には見えているのだと思います。はじける美しさを体中で感じるこ とができる感性を持っている人だと思います。たとえ目が不自由でも、音楽の世界だけでなく、彼の持つ可能性を大きく広げたご両親の努力はいかばかりだった かと思います。
音楽そのものの美しさを体で感じる辻井さんが、今後どのようなピアニストとして成長し、同時に作曲家としての夢をかなえていかれるのか、これからがとても楽しみです。
辻井さんのホームページ。
辻井伸行 Official Web Site Nobu Piano.
コンクールでの彼のピアノが聞けます。黒鍵で鍵盤の位置をたくみにチェックしながらの演奏は、まるで指先に目がついているようです。
2 件のコメント:
私が添乗員してたころ一度、全盲の人がツアー参加されたことがあります。私も「えっ」って最初思ったのです。失礼ながら。それは北海道のツアーで大自然の風景がたっぷり楽しめようになっているのです。見えない人はかえってかわいそうじゃないのかなと。でも行程を進めていくうちにその人にはちゃんと見えてるし他の人となんらかわりなく旅行をたのしんでるのが徐々にわかりました。
だいたいのところガイドさんまかせでしたが私もマイクを持つ都度できるだけ詳しく風景をお伝えしたら大きくうなづきながらとても喜んでくれました。ひまわり畑の水平線と青空とその方の嬉しそうな表情がいまもセットで記憶に残っています。
今回受賞された辻井さん、時の人ですね。今朝のワイドショーにも出演!受賞曲演奏されてました。こうしてマスコミに取り上げられることは今まで続けていたことが認められた証拠だし、私達も知らなかったすばらしい人を知るいい機会なんですけど揉みくちゃにされないかとちょっと心配です。
スター誕生で有名になったスーザンさん、入院してしまったんですって。今までの生活とかわりすぎて体調崩されたそうなんですよね。
ノブはそうならないよう祈ります。
(余談ながらにポール・ポッツさんは二枚目のCD宣伝のため来日中。)
辻井さんフィーバーはしばらく続くことでしょうね。テレビをほとんど見ない私は彼の様子はわかりませんが、日本人が騒ぎたくなる人ですものね。
彼の場合、音楽そのものと生活が一体化していると思います。私たちが「だいじょうぶかな」と気にするのとはレベルが違って、音楽と歓びを共にしている人だと思います。
目が見えないということは、私たちが見えない世界を知っている人ですよね。
彼の「澄んだ音」は、彼の心そのもののような気がします。これからの彼の音楽が楽しみですね。
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