2012年7月1日日曜日

独善報告書

「僕たちはやることはやったよ。もちろん甘かったかもしれないけれど。横からちょっかいを出してきたのが、じゃまだったんだ」

東京電力の福島第一原発事故最終報告書が出されたあと、朝日新聞では社説、天声人語、投書など、全てで東京電力という会社の体質を疑う意見が飛び交っていました。「自己弁護」「責任転嫁」というような表現がある中で、「独占が書かせた独善報告書」という川柳がずばりと本質を突いているように思います。

同じ日の紙面にはアメリカの原発監視を行う原子力規制委員会(NRC)の検査官の仕事ぶりが紹介されていました。一つの原子力発電所に原則2人の検査官が駐在し、「いつでも、どこでも、予告なしに作業が見られる」状態にあるのだそうです。一般の従業員では立ち入りできない中央制御室や使用済み燃料プールにも自由に出入りできるとか。

この検査官になるには、まず7週間の訓練を受け、原子炉制御盤シミュレーター操作をマスターして、実際の運転員の作業を完全に理解し、その後の1年の現場訓練を経て受ける試験に合格しなければなりません。

方や、日本の検査官は電力会社の作る検査書類の審査が主な業務なのだそうです。安全を守る基本的考え方が全く違っているのを感じます。

独占企業とそれを許す監視体制、それはとりもなおさず、私達一人一人の気づきのなさの結果だったのだと思います。

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