2014年11月18日火曜日

「速い」ということ

京都の地下鉄の駅やあちこちに「リニアを京都に」という文字を目にします。現在計画中のリニア新幹線は、京都は通りません。京都市、京都府としては、どうしても京都にリニア新幹線の駅が欲しい、でなければ、京都が取り残される、という思いでの活動なのでしょう。

「リニア」とは「まっすぐ」を意味することばですから、地図の上で、名古屋から大阪まで直線を引けば、京都がはずれてしまうのは自然なこと。それを変更してもらおうというのですから、とっても大変だと思います。

先日の新聞投書欄に、19歳の大学生の文章がありました。大学一年生の夏に、自宅のある埼玉から、日本の最北端、稚内(わっかない)駅まで鈍行列車で行ったのだとか。片道30時間かかったけれど、車内で飽きることは無かったと書いています。車窓からの景色や列車に乗る人たちが次々に変わり、自分についてもあれこれ思いをめぐらす、そんな30時間だったのだそうです。

この大学生は、時速500キロ、走行区間の86%がトンネルというリニア中央新幹線に関しても感想を書いています。「時間を節約すれば、経済的な効果もあるだろうが、景色がもたらす生きた時間までも節約するような気がする。速さや効率を追求するばかりに物事の情趣まで切り落とすような国にはなって欲しくない」と。

東京から「のぞみ」に乗れば約2時間20分で京都に到着します。新幹線がなかった頃には6時間かかっていたのです。「京都にはゆっくりおこしやす」と割り切ってもいいのに、と思う私です。

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