2010年10月13日水曜日

「若者よ 海外に出よ」

今年のノーベル化学賞を受賞したアメリカ在住の根岸英一さんのことば。

日本人学生の留学希望が減少。大学3年生からの就職活動に差し障(さわ)る、など理由はあれこれ。学生だけでなく、研究者も海外に出なくなったという報道もありました。

「海外」とは、日本ならではの表現。外国に行くには必ず海を渡って行かなければならない島国の特徴を表したことばです。国境という一本の線を越えると外国、という感覚が全くない日本人にとって、外国イコール海外であるのは、とても自然な感覚です。

若いときに外国を経験すること、少なくとも「見る」ことは、どんな本を読んだり、映画やテレビで得る知識以上に、大きなインパクトがあるものです。自分の常識が通じない、もちろん言葉も通じない場に身を置く、それが大切なのです。

「そんなことめんどうだよ」と言う声が聞こえてきそうです。確かに、自分にとって慣れた場所で慣れた人たちに囲まれて生活するのは楽ですが、でも、若い人がそう感じているとしたら、ちょっと残念です。

私自身の留学経験、子ども達の留学、そして、アジアからの留学生とのおつきあいを通して、外国での生活に「大変」なことが一杯あるのは承知しています。でも、だからこそ、その生活の中で得たものは、何にも変えられない、と信じている私です。

根岸さんが「外から日本見る目が重要」とおっしゃっています。その通りなんです。自分の生まれた日本を見直すことになる絶好のチャンスです。日本が好きになるチャンスです。そして、世界の人たちがそれぞれの国をどれだけ大切に思っているか、それに気づくチャンスです。

海外に出かけることが簡単になった時代に生まれているのですもの。このチャンスを生かさない手はありません。「どこでも生きていけるよ」と言い切れるような日本の若者が多く出てくることをこころから望みます。

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