2008年4月29日火曜日

老いるということ

母との同居がスタートしたのは昨年の6月。ほぼ10ヶ月となりました。92才。介護保険の介護度3で、認知症があり、生活全てに「介護」が必要です。

戸惑いと混乱が続いた当初約2ヶ月。私が思っていた以上に、母は母ではありませんでした。母の世界がどうなっているのか、それがわからずに、私の心があれこれ迷っていました。

人は年齢を重ねることで、人生の幅を増し豊かになっていく、そう信じていた、というより、信じていたかった私です。でも目の前にいる母は、私が知っている母とは全く違う人でした。そんな母の姿が許せなかった、それが多分私の本音でした。

何をするでもなく、ただ座っていて、時に部屋の中をウロウロしている。テレビやあれほど好きだった本にも何の反応を示さない。母は一体何をしているのだろうか、それをずっと考えていました。

そんな時「“doing”から“being”への変化、それが老いるということである」という言葉に出会いました。何かをするのではなく、ただそこに居る、その存在そのものが老いであるというのです。つまり今の母なのです。

ヨチヨチであっても、一人で歩けて、夜はよく寝て、食事もちゃんと一人で食べられる。母の「いいことさがし」を心の中で繰り返しながら、“being”の母との生活が続いています。

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