先生ご自身の幼少期のお話からお話はスタート。子どもがあちこちに一杯いた、戦後の秩序が少しずつ整っていく中での先生の生い立ちです。そこから現代の子どもを取り巻く事情へと話が進んでいきます。
そして、NHKが取材した聖路加病院の小児科病棟のDVDを紹介されました。6歳の2人の男の子が同じ部屋で仲良く過ごしています。一人は骨折の治療のため、もう一人は悪性の小児がん、少しずつ症状が進んでいきます。
「これ以上の治療はやめて、本人が一番やりたいことをさせてあげる時期になったようです」と話かける先生に、ご両親は「本人にとって、友達や先生、スタッフと過ごす病院の時間が一番幸せなのです。病院の場にいさせてやってください」と答えます。
がんの転移が広がって、目が見にくくなったこの男の子に、同室の子は彼なりのこころくばりを続けます。一緒に絵本を読んでもらう時には、ことばで、どんな絵本が手元にあるのかを伝え、どの絵本を読んでもらおうか、と語りかけます。
「僕は夜中は起きているの。○○ちゃんがゲーッしたら、看護師さんをよばないといけないから」と話す6歳の男の子。彼が外泊した日に「相棒」は亡くなりました。
「○○ちゃんはお星さまになったよ。もう会えないんだよ」とお母さんに話しかけられても、ベッドにうつ伏して返事をしない男の子。病院の中でのお葬式にはどうしても行く、と言い出します。
「二度と会えない、でも○○ちゃんのことはいっぱい覚えているよね」と話しかける細谷先生。自分なりに友だちの死に必死に向き合う6歳の男の子の姿が今も目に焼き付いています。
「私たちおとなは、自分が子どもだったことを忘れないことが一番大切なのではないでしょうか」とおっしゃった細谷先生。普段の生活では見落としている何かを感じることばでした。
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