浄土真宗本願寺派第24代門主・大谷光真氏の著書「愚(ぐ)の力」を読みました。
浄土真宗に関しては、全く知識のない私。宗祖の親鸞聖人 (しんらんしょうにん)のことば、「一切衆生」(いっさいしゅじょう)・「専修念仏」(せんじゅねんぶつ)・「現生正定聚」(げんしょうしょうじょう じゅ)など、ひらがなを一生懸命読まないといけないことばが出て来る本です。
ですが、新書版のこの本、ページが黒くないのです。つまり宗 教書や哲学書にありがちな漢字だらけの本ではありません。ウェブで書評を読んでみても、「わかりやすい」と書いている人が多いのです。
私 にとって決して「わかりやすい」本ではありませんでした。ですが、読み終わったあと、もう一度読もう・・・と思いました。何度か読み返すうちに、私なりの 理解ができるようになればいいな、そう感じさせてくれる本です。
先週の日曜日の朝日新聞の書評欄に、今、ベストセラーになってい る五木寛之(いつきひろゆき)氏の「親鸞」が紹介されていました。新聞に連載されていたこの小説、上下巻に分かれる大作で、親鸞の人となりと教えを見事に 融合した作品であるという文章でした。
そして、「拠(よ)りどころを失っている現代の日本人が、どこかで新たな精神的指導者の出現を期待 しているのかもしれない」と結ばれています。
朝刊のこの記事を読んだすぐあとに、母の部屋でNHKBSの週刊ブックレビューで、五木寛之 氏が登場しているのに遭遇したのです。(私の大好きな「シンクロニシティ:意味のある偶然の一致」です)
そこで、五木氏は、「易行」とい うことばを話されました。「いぎょう」と読みます。易行、とは「やさしく行う」という意味。難しいことをやさしく説明することの大切さをおっしゃっていま した。宗教家親鸞の人生を「やさしく」「興味深く」そして「しっかりと」伝えた小説がベストセラーになっているのは当然の結果なのでしょう。
大 谷光真氏の「愚の力」もまさに「易行」の成果だと思います。「いのち」ということばがひらがなで書かれてあるのを見て、何だかホッとした私でした。
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