1月20日に就任したアメリカのオバマ大統領。その就任演説は瞬時にウェブ上で原文が掲載され、日本の新聞各社も翻訳文をいち早くアップしていました。朝日新聞・日本経済新聞・共同通信、それぞれの翻訳文をコピーして比べてみました。
時間との「勝負」で翻訳された日本文ですから、それぞれに訳していない単語があったり、ただただ日本語に置き変えたような、何度読んでも意味が不明確な文章があったり。充分に推敲(すいこう)する時間がなかったことがはっきりわかる翻訳文でした。
朝日新聞は1月24日の朝刊に、英文全文と日本語訳を紙面一頁に掲載しました。その文章は、私がウェブからコピーしたものと同じでしたが、約一週間後の30日、社会面の片隅に小さな訂正記事が出ていました。
24 日付「オバマ大統領就任演説」の記事で、英文「・・・when imagination is joined to common purpose, and necessity to courage.」の日本語訳が「共通の目的や勇気の必要性に想像力が及んだ時」とあるのは「共通の目的に想像力が及び、勇気に必要性が結びついたとき」 の誤りでした。
妙な訳だな、と思った箇所でしたが、一旦紙面に掲載した文章を訂正するのですから、「やっぱりこれはダメだ」との判断なのですね。この部分は「致命的間違い」として訂正記事が出たのでしょう、きっと。
三社の翻訳文をあれこれ読み比べている時、出だしは日経の訳がとても「順調」でした。通りのよい文章だったのです。が、途中で、雲行きがあやしくなりました。何だかつかえるのです。そして、一カ所、ゴソッと脱落した部分がでてきました。
わけがわからないまま、再度日経のウェブで就任演説の訳をチェックしたら、日経は翻訳文を「すっかり」差し替えていました。
限 られた時間内で、多分複数の翻訳者が担当したであろう、今回の翻訳文。それを一つにまとめる作業も大変だったことと想像します。一字一句を落とすことなく 訳し、原文のニュアンスを残しながら完璧な日本語に練り上げる、そんな時間の余裕はなく、とりあえず翻訳された文章がウェブ上にアップされたのは仕方のな いことなのかもしれません。
世界中の人が大きな関心を持っていたオバマ大統領の就任演説。日本の新聞各社も「外国の大統領就任演説」を大きく、丁寧に取り上げたのは当然なことなのでしょう。
今回の紙面をあれこれ読んでみて、今後、日本の新聞にも普段から英語の文章が自然に掲載されるといいなと思いました。「英語のお勉強」というような感じでは なく、もっとさりげなく、おもしろそうな内容を原文で紹介していけば、より多くの人にとって、英語がもっと身近になるのではないでしょうか。「正しい」英語に自然にふれることが出来る、そんな環境がもっとできればいいのにと思います。
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