2012年5月13日日曜日

俳句でエール

 


俳人  黛まどかさんが東日本大震災以降、配信している「俳句でエール」。5月6日に届いた メールマガジンをそのまま掲載します。被災地の方々の句、被災地を応援する方々の句、それぞれに気持ちのつながりを感じます。忘れてはいけません、私たちも・・・




俳句でエール!
~東日本大震災に寄せて~
総集編
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被災地からの一句
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まんかいのさくらがみれてうれしいな 阿部竜成(小学生・岩手県山田町)

置いて来し春のふる里恋ふばかり 高橋愛子(福島県南相馬市)

棺の人置いて逃げよと原発忌 山崎カツ子(福島県南相馬市)

原発忌この牛置いて逃げられず 西内正浩(福島県南相馬市)

つばくらめ傷みし家を忘れずに 小出敏江(福島県南相馬市)

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応援俳句
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炊き出しの声かけあつて水温む 松下美奈子(熊本県天草市)

飯舘の空に帰らむ初燕 鯉雨人(愛知県知立市)

陸奥へ桜前線たしかなり いちろう(神奈川県横浜市)

ふらここや瓦礫の彼方海青し 亀チャン(東京都青梅市)

みちのくの空へつながる春の虹 山田天(大阪府大阪市)


●黛まどか・講評●

棺の人を、また家族同然の牛を置いて逃げなくてはいけないという現実に直面した人々。避難先では、置いてきたふるさとを恋うる日々が続く。どの句も経験者でなければわかり得ない過酷な状況を詠んでいる。しかし、訪れた燕や満開の桜に、命をつないでようやく春を迎えた喜びを見出し、分かち合っている。日本人と自然の信頼関係が震災後も少しも揺らいでいないことがわかる。
応援俳句は、「桜前線」「春の虹」「初燕」「水温む」「ふらここ(ぶらんこ)」など、明るい季語に希望を託している句が多く、被災地への思いが伝わってくる。

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