2012年8月18日土曜日

帰還兵の自殺

アメリカで帰還兵の自殺数が増えているのだそうです。今年前半だけで、150人を超え、同時期のアフガニスタンでの戦死者数を上回っています。

イラク戦争からアフガニスタンへ・・・アメリカは10年以上、兵士を戦場に送り続けています。二度三度と派遣される兵士の数も増えています。

相手を殺さないと自分が殺されるという 戦場。そこに送り込まれる兵士たちは、その現場で戦えるように訓練を受けます。「人を殺せ」という訓練です。尋常ではない精神状態にならなければ、その場にはいられなくなるのです。そこでは、仲間たちが殺される場面にも遭遇します。「次は自分か・・・」という恐怖に絶えずさいなまれる、そんな日々を過ごすのです。

本国に無事に帰還したとしても、戦場での記憶がなくなるわけではありません。心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断される帰還兵の数もうなぎのぼり。自殺を選ぶことにも・・・

アメリカでの帰還兵への精神的ケアの不備も指摘されています。カウンセリングが盛んな国であっても、軍隊特有の気風、「助けを求めることを恥とする文化」が邪魔をして、帰還兵のこころのケアは進んでいないのが現状のようです。

70年代前半、 泥沼のベトナム戦争を経験していたアメリカで目にした帰還兵。軍からの奨学金をもらって大学に戻ってきていた人でした。カフェテリアで話すその人の影の薄さがとても気になった私でした。心がそこにないような、そんな雰囲気でした。

戦争を知らない今の日本では想像できない経験をする人たちが、現在、このときにも世界にはたくさんいること、それを覚えていなければいけないと思います。

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