10月12日のタイムアジア版の表紙には、アフガニスタンで負傷した兵士の写真がありました。担架(たんか)に乗せられ、口には短いたばこ。目は閉じています。どこを負傷したのか、それはこの写真からわかりませんでした。
極度に精神の緊張を強いられる戦いの場。いつどこで襲われるか、それを感じながら過ごす日々。この写真の兵士の表情はなぜか、とても穏やかに見えました。自分の負傷と引き替えに、安心できる場所に運ばれる・・・そんな気持ちなのでしょうか。
ア メリカ国内の飛行場では、よく入隊する若者たちを見かけます。真新しい制服が何か不似合いな、そんな若者たちです。徴兵制度がなくなったアメリカで、現 在、軍隊に参加する若者はほとんどが低所得層の出身です。兵役(へいえき)を終えたあとの身分保障は彼らにとっての将来の希望となるのです。
ですが、彼らが赴任(ふにん)する場所はどこも正常な精神力では耐えられないような場所ばかりです。「異常」であることを求められる場所であると言えます。今までの平穏な生活とは全く違う世界に訓練を受けた彼らは飛び込むのです。
タイムの表紙の負傷兵士の腕に「気違い」という日本語のいれずみがありました。本当の意味がわかってこのことばを彫ってもらったのでしょうか。そうせずにはいられなかったのかもしれません。
ノーベル平和賞を受けたオバマ大統領の国の若者です。今、現在、この地球の上でこのような苛酷(かこく)な状況で戦う人たちがいる。日々安穏(あんのん)な日本での生活では想像するのが難しいこと。でも目をそむけてはいけないのです。
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