1999年の秋のこと。友人とマンハッタンに行きました。観光だけが目的の気楽な旅。
ある朝、初めて見たスターバックスの店に入り、何を注文していいのか、随分悩みました。「ラテ」の文字があったので、私は「カフェラテ」を注文。「何でもいいから注文して」と言った友人には、「エスプレッソ」らしきものにしました。
手渡されたのは、結構大きな紙コップ。コーヒーは底の方に少し・・・「これだけ?」と不服そうな友人の顔。「何が来るのか知らないもんね」と私は逃げ腰。結局、ポットにあったお湯を足して飲んでいました。
それ以降、海外に行くと、いつもスターバックスを見つけて、「エスプレッソ以外」と注文していた友人です。世界中に店舗を広げ、日本にもドンドンお店が増えたスターバックス。シアトルの小さなカフェからのスタートです。
スターバックスの会長、ハワード・シュルツ氏の記事に、「社員に配慮した経営哲学」ということばを見つけました。拡大路線が裏目に出て、一時は大きく業績が悪化。ですが、社員の健康保険への支出は続けていったのだそうです。色んな企業努力が続けられ、奇跡的なV字回復を達成した、その物語がアメリカでベストセラーになっていました。
経済情勢が悪くなるとアメリカの多くの会社では社員に対する福利厚生費用がドンドン削られていきます。ですが、仕事が継続できるのなら、まだしも、解雇されれば、国民皆保険制度でないアメリカでは、即無保険になることも多いのです。病気が重くなっても医療機関に行けない人がたくさんいる社会なのです。
リストラが企業を守る手段として当たり前と考えられているアメリカ社会でも、一方では社員を大切にする会社が業績を伸ばしているのも事実です。息子が働いているSouthwest Airlinesもしかり。
アメリカの後追いをしている日本で、使い捨てにされる労働者の増加が社会問題となってきたのは随分以前からのこと。そして、去年の東日本大震災。
社員を大事に、人を大事に。そんな雰囲気に満ちた社会への舵(かじ)取りを政治家も実業家も真剣に考えてほしいものです。
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