2012年1月14日土曜日

「君の椅子」

わが家に小さな手作りの木の椅子があります。息子が1歳ぐらいの時に、そこに座っている写真が残っています。「こんなに小さな椅子に座っていたんだな」 その椅子を見ると、その光景がよみがえってきます。

3・11の日に生まれた赤ちゃんに小さな椅子を贈る方のことを新聞で知りました。「君の椅子」を、岩手・宮城・福島三県の2011年3月11日が誕生日の赤ちゃんにプレゼントなさっている方です。

北海道の元副知事、旭川大学客員教授や文化財団理事長を務める磯田憲一さん。自ら、その椅子を手渡しし、自作の詩を読んで語っているとか。

「日本が息をのみ、言葉を失ったあの日・・・未来への希望を携(たずさ)えて君は生まれてくれた・・・」

途方もない喪失(そうしつ)に襲われた日に生まれた命。「その成長が東北の未来そのものだ」と語る磯田さん。

三県の全市町村に問い合わせた、あの日の出生数は104。出産直後に大きな揺れに襲われた母子。生まれた日を別の日にして、出生届を出そうかと迷った父親。一つ一つの誕生にドラマがあるのです。「よくぞ生まれてくれた」という思い。それは椅子を贈る磯田さんだけでなく、この話を知った私たち全てが抱くものです。

みんな、元気で大きくなってね!

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