「まだお迎えがこないの」と突然祖母が言いました。40年以上前に、90歳で亡くなった母の母です。少しずつ「ぼけ」は出ていましたが、何でも自分ででき、しっかり食べていました。最後の一ヶ月だけ寝たきりになりました。その祖母が言ったのです。「まだお迎えがこない」と。
12月の上旬でしたから、家族のみんな、何となく、祖父の祥月命日18日を思いました。お迎えは「その日」ではないかと。
そして、「18日」に祖母は静かに旅立ちました。50年以上も未亡人だった祖母です。同じ祥月命日に旅立ちたかったのかも知れません。
仙台で在宅で患者さんを看取っているお医者様のことばをテレビで聞きました。自宅で最期を迎える人たちは、多くの場合、「お迎え」を待って旅立っていると。自分の人生の締めくくりを、病院ではなく、生活の場で迎える人たちは、そこに住んでいた、先に旅立った人たちに迎えられて「あの世」に行く、と。
祖母の場合は、もちろん何十年も住んでいた家から旅立ったのではありませんでした。ですが、家族に囲まれ、とても自然にこの世での時間を終えることができました。去年の母の旅立ちも穏やかなものでした。祖母が「お迎え」に来てくれていたのでしょうか。
12月は、私にとって大切な人との別れが多い月。短いおつきあいだったけれど、私に暖かい思い出を残してくれた人も。今も、みんなとつながっている、それを信じる私です。
0 件のコメント:
コメントを投稿