2011年12月23日金曜日

震災を詠む

「震災を詠(よ)む」という番組を偶然目にしました。大震災後の短歌が紹介されていました。

   本堂の
   遺影のあまた
   笑(え)みており
   日差しの中に
   慰霊祭を待つ

   「じゃあまたね」
   いつもの声を
   留守電に
   残して友は
   逝(い)ってしまいぬ

原発事故を詠んだものもありました。

   コスモスの
   揺らぎのように
   問うてくる
   「送ってもいーい」
   角田の新米

   (福島県に近い、宮城県南部にある角田(かくた)市の友人が電話で聞いてきた)

   窓あけて
   涼風病妻(つま)に
   送りたし
   されど叶(かな)わぬ
   原発の夏


少ない文字の中に、多くの想いがこもっています。情景が浮かんできます。普段使わない言葉も多いのですが、整ったリズムはすてきです。短歌は俳句とともに日本語文化の大きな財産です。

0 件のコメント: