2011年10月24日月曜日

見て見ぬふり

友人が話してくれました。狭い一方通行の道をゆっくり車で走っていたら、前を歩いていたおじいさんの頭が急に視界から消えたのです。崩れるように道にうずくまったおじいさん。とにかく車のハザードランプをつけて、飛び降りておじいさんに駆け寄ったとか。

ことばは話せたおじいさん。全身の力が抜けて動けません。道の真ん中では危ないから、引きずるように道ばたに動かして、そして車も路肩に寄せて・・・その間、通りがかりの人は、誰も手を貸してくれなかったそうです。

近くに住んでいることがわかり、車に乗せて送っていくと、そのおじいさんのお宅(豪邸だったとか)の前に女性が立っていました。一人暮らしのおじいさんの世話をするヘルパーさんでした。そのお宅の方であることも確認でき、とりあえず、一件落着でホッとした・・・と友人の話。

先日、中国で、2歳の女の子が車にはねられ、誰も助けないままに、再度、車にひかれた状況が監視カメラの映像に詳しく映っていたことがニュースになりました。その女の子を助けたのは、あたりに住んでいたホームレスの女性。中国中で、人々の「見て見ぬふり」を非難する声があがっているとか。

急激な経済成長を遂げた中国は、拝金主義が充満する世の中での道徳心の低下が問題視されています。共産党も、人々のこころの問題に踏み込んだ政策を講じるのが急務だと考えているようです。

日本も同じなのでしょうか。3・11以降、人の優しさに触れる機会も増えました。ですが、日々の生活の中では、突然の状況が生じた時、まだまだ「見て見ぬふり」をする人が多いのも事実です。

今回、友人のそばを通り抜けた人たちも、「次」の時には手をさしのべよう、と思うこころが芽生えていてくれるように、と願います。


PS: 22日朝刊に、この中国の女の子、悦悦(ユエユエ)ちゃんが亡くなったとありました。寂しい結末です。

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