岩手県陸前高田市の津波でなぎ倒された松。薪(まき)となったこの松に、被災者の気持ちを書いてもらって大文字の送り火で使うと保存会が発表。放射線物質が出るのでは・・・という一部の市民の不安から、使用中止を決定。京都に送られるはずだった薪は、お盆の「迎え火」として現地で焼却。それに先だって、保存会の人が現地に出向いて、メッセージが書かれた333本の薪の写真を撮影。再度、送り火に使用するとして、現地から500本の薪が京都に到着。保存会のメンバーがメッセージを書き写している。
「京都はけしからん」と全国に広がってしまったこのエピソード。一応一件落着で、京都市長も安堵(あんど)の表情を浮かべたと12日の朝刊に書かれていたのですが、夕方のニュースで、新しく運び込まれた薪から放射性物質セシュウムが検出され、送り火での使用を断念したとのこと。
最終結果は思いがけないことになりましたが、震災の犠牲者の方々を追悼したい、という思いがスタートだったはずです。色んな意見が飛び交う中、保存会の方々も難しい判断を迫られたことと思います。
11日付の朝日川柳にあった、岩手県大船渡(おおふなと)の方の句。
「どこで燃えても 変わらぬ祈り」
選者は「東北のやさしさ」と記していました。
12日の「ほぼ日刊イトイ新聞」にもすてきなメッセージがありました。12年間続けた大文字送り火のライブ中継、今年も開催しますと伝えています。長いのですが、そのままコピーをしました。
今年の「五山の送り火」を、予定通り中継いたします。
震災時の津波で倒れた岩手県陸前高田市の松を、
五山の送り火のひとつ「大文字」に使う計画が、
中止になったという報道があったのち、
今年の中継を行うかどうかについて、
複数のお問い合わせをいただいておりました。
結論から申し上げますと、わたしたちは、
今年の「五山の送り火」も予定通り中継いたします。
起源については諸説ありますが、
「五山の送り火」が始まってから、ずっと長い間、
数えきれないほどたくさんの人たちがそれを支え、
そこで祈り、たのしみにしてきたと思うのです。
そこに流れてきた長い時と、人々の営みには、
誰しも敬意をはらわざるを得ません。
今回、一部の人たちのなかに残念な考えがあったとしても、
それ以外のほとんどすべての人たちの「思い」は、
それぞれに大切にすべきものであると考えました。
現在の状況をふくめ、ありのままの、
今年の「五山の送り火」を伝えることが、
わたしたちにできる、いちばん自然な対応だと考え、
このような判断をさせていただきました。
考えや立場のちがうかたを含め、
みんなが幸せな気持ちになれるよう、
今年の送り火を観ながら、
わたしたちは祈りたいと思います。
2011年8月12日 ほぼ日刊イトイ新聞
ほぼ日刊イトイ新聞 - 大文字送り火ライブ中継2011
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