2011年8月5日金曜日
こころに寄り添う防災
群馬大学片田敏孝教授が続けてきた防災教育の成果が見事に実った、岩手県釜石市。大地震の時に学校にいた、小中学校生全員が助かりました。 その詳細は4月23日のけやき便り: 「てんでんこ」報告にも書きました。片田教授が先日、NHKラジオに出演。ご本人のコメントを直接耳にすることができました。
防災を専門とする片田教授にとって、小中学校生の機敏な行動は確かに喜ばしいことではあるけれど、釜石市全体で約1200人が犠牲になった、その事実はとても重いものなのです。
「自然の恵みを受けている私たちは、自然からの災害をよく知るべきです。自然災害で人が死んではいけないのです。どんなに高い防波堤を作っても、“自分は大丈夫”と人が考えてしまえば、それは防災にはなりません。人の意識を変える必要があります。」
「こどもたちへの防災教育はその親世代にも伝わります。この防災教育を10年続けると、そのこどもたちはおとなになります。さらに10年続けると、彼らは親になり、防災の意識が、次の世代にも受け継がれていくのです。今回は、こどもたちは教えられた通りに反応してくれましたが、コミュニティー全体への浸透はまだまだでした。」
片田教授は三陸海岸では釜石市、そして紀伊半島の尾鷲(おわせ)でも同様の防災教育をこの7,8年続けていらっしゃるとか。大震災以後は、あちこちから、講演依頼が相次いでいるようです。
「講演で話すだけでは、本当は足りません。繰り返し、人のこころに浸透していくような防災教育が必要です。」
想定に囚われず、その場でできる最善を尽くす、と教えられた釜石市のこどもたちは、自分たちで判断して、より高い場所に避難しました。防波堤のような「ハード」だけに頼るのではなく、こころという「ソフト」に寄り添うことで、本当の防災が可能になるようです。
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