最近の飛行機は、機内サービスをせずに料金を低く抑える傾向が顕著(けんちょ)。特にアメリカではそれが当たり前。飛行機に乗れば、必ず食事をしていた時代とは違ってきているようです。
1994年、シンガポールからインドネシアのジャカルタに飛びました。夏休みで日本に帰っていた大学生の息子が同行していました。フライト時間は1時間半。良質な機内サービスが売り物のシンガポールエアラインでした。
飛行機は、離陸後、水平飛行にならないと食事サービスはしません。そして、着陸態勢を取る前に、サービスは終了しなければなりません。・・・ということは、1時間半のフライトで、サービスができる時間は、正味1時間ほどでしょうか。
そ んな限られた時間の中で、ドリンクサービスに始まって、フルディナーのサービスがありました。からだにぴったり沿ったユニフォームに身を包んだスチュワーデス(今ならフ ライトアテンダント)とスチュワードたちは、急ぐ素振(そぶ)りもなく、にこやかに、飲み物や食事を運んできました。食事のトレイを全て回収したと同時 に、シートベルト着用のサインが出ました。全て計算されたかのような動きに、息子も私も「さすがシンガポールエアライン!」と感心したものでした。
当時、シンガポールでは、女性のあこがれの職業がシンガポールエアラインのスチュワーデス。容姿、スタイル抜群のスチュワーデスが機内を歩く姿は、女性の私でもみとれるほど。もちろん大学生の息子は・・・
先日の朝日新聞のコラム、「特派員メモ」にも「35分間の神業(かみわざ)接客」というタイトルの記事がありました。
カンボジアのアンコール遺跡観光の拠点であるシエムレアプからタイのバンコクまでのフライトでの接客の模様を書いていました。
離陸後3分。まだ上昇途中に、シートベルト着用のサインが解除される。女性乗務員4人が一斉に動き出し、紙のお弁当箱のようなものに入った食事を160人の乗客に配り、飲み物も乗客の好みを聞きながらサービス。ここまで10分足らず。
15分ほどたった頃、降下開始の放送があり、3分とかからないうちに、紙箱を全て回収。シートベルト着用サインが点灯。着陸まで約10分を残して機内食は終了、乗務員は所定の座席に戻る・・・という次第。
慌(あわ)ただしさを感じさせないゆったりしたサービスだった、とあります。タイは短距離の国内線でも機内食が出るお国柄だとか。
食事のサービスはなし・・・にも慣れましたが、この記事を読んで、あのシンガポールエアラインの食事サービスを懐かしく思い出しました。
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