残心:武芸で、一つの動作を終えたあとでも緊張を持続する心構えをいう語。剣道で、打ち込んだあと相手の反撃に備える心の構え。弓道で、矢を射たあとの反応を見きわめる心の構え。
新しいことばの意味を知りました。残心とは「心残り」「未練」ということかと思っていましたが、武道に関するこんな意味があったのですね。
「心を残す」とは、自分のふるまいの最後にもしっかり気を配ることのようです。池波正太郎氏が小学生の頃、電話の切り方について先生にこう言われたそうです:
「話が終わってもちょっと間をおいて切りなさい、おじぎをするくらい間をおいてから切るものだ」
当時の下町の小学校で、家に電話があるのは、10人にひとりぐらいだったそうですが、「君たちが社会に出て、電話をかけるときのために」と、先生はおっしゃたということです。
電話の受話器を電話機に戻す動作を今の生活ではあまりしなくなりました。家庭でも子機を使って、話が終わると「切」のボタンをプッシュ。携帯の場合も、ボタンを押すか、携帯を閉じるかの動作となりました。
どんなに丁寧な話し方の電話でも、「それでは失礼いたします」 プツン!
これではそれまでの丁寧さが台無しです。一呼吸置く、その間の大切さを小学生に話された昔の先生。その間を惜しむように、さっさと「次」のことをやろうとする私たち。「今の日本は・・・」ということばは使いたくありませんが、こんなところにも現代の生活のリズムが反映されているのでしょうね。
仕事場で以前よりも電話を多く使う今の私。忙しさの中で、文字通り「心を亡くす」のではなく、「残心」の余裕を持っていたいと思いました。
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