2009年7月3日金曜日

三次元の音

自分でも妙なタイトルだと思います。でもこのところ、このことばが私の頭の中から離れないのです。

娘がまだ幼稚園に通う前のこと。ピアノ のおけいこを始めました。バイオリンで有名な「スズキメソード」のピアノ指導が始まった頃でした。ピアノで音を出すおけいこをスタートする前に、先生から いただいたテープを家にいる時は、ずっと流していました。最初は「キラキラ星」のメロディーを色々なリズムで演奏した曲です。

あんまり しょっちゅう流しているものですから、家族みんなの頭の中にキラキラ星の曲が染(し)みついてしまいました。「うさぎがピョンピョン」とリズムにことばを つけたので、みんなの口から「うさぎがピョンピョン・うさぎがピョンピョン・・・」と出て来るようになりました。

バイオリンはメロディー 音を覚えるだけですが、ピアノはメロディーと伴奏、つまり両手の音を覚えなくてはなりません。二種類の音を覚えるなんて・・・と心配するのはおとなだけ。 子ども達はいとも簡単に覚えてしまいます。スズキメソードで育った子ども達は、まず「音ありき」の教育を受けるのです。

一方、私自身が受けたピアノのレッスンは、初期の「バイエル」「ブルグミュラー」から、どれも新しい曲の楽譜を読むことから始まりました。音符を正確に読み取って、それを曲に仕上げていく作業です。

これがとても「平面的」、つまり二次元の作業のような気がするのです。それに反して、娘が受けたトレーニングは三次元的な音作り。そう感じてしまう私です。

この三次元の音をしっかり身につけたのが、先日クライバーン国際ピアノコンクールで優勝した辻井伸行さん。目からの情報が全くない彼は、音そのものを聞いて曲を覚え、そして演奏していきます。まさしく、三次元の音そのものです。

楽譜には、音符だけでなく、音の強弱や表現方法など、種々の「指示」が書かれています。それを表現の手がかりとして練習します。でも辻井さんは、音そのものから、曲を感じ取り、自分の曲を奏(かな)でていきます。

連日、彼のCDに聞き惚(ほ)れている私です。

視覚は想像力を低下させる・・・と先日耳にしました。

目を閉じて辻井さんのピアノを聞くと、想像の世界が大きく広がるような気がする私です。


PS: 6月14日のブログにも辻井さんのことを書きました。心の目

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