「こちらはNTTドコモです。おかけになった電話は、電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないため、かかりません」
このメッセージを皆さんはお聞きになっていることでしょう。この声の主(ぬし)中村啓子さんが、日本オーディオ協会の今年度の「音の匠」に選ばれました。
お聞きください、中村啓子の声
富山県出身で、標準語をマスターするために、「アクセント辞典」4冊をボロボロにするまでの独学を続けた中村さん。「明確で親しみのある声で人々の生活を明るくした」というのが、「音の匠」の選考理由だそうです。
NTTの時報、東京モノレールの車内放送、一部の金融機関のATMにも声が流れるとか。音声鑑定の専門家は「どこの出身で何歳なのか分からない」と評する中村さんの声。たゆまぬ訓練のたまものなのでしょうが、加えて、彼女の声そのものが、多くの人が聞きやすいヘルツ帯にあることが幸いしているとのことです。
留守番電話サービスの口調は、語尾が微妙に上がっています。かけた人がイライラしないようにとの工夫だそうです。一度、上記のせりふの最後のところを、しっかり下げて、断定気味に読んでみてください。とてもきつく聞こえてくるはずです。
「聞いている人に、ほっとしてもらうのが私のテーマです」という中村さん。声だけで多くの人を癒す力を持つ技は確かに「匠」の名に値するものですね。
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