2009年3月3日火曜日

「おくりびと」効果

映画「おくりびと」が2月28日と3月1日の二日で、週末興業成績ランキングの一位になったそうです。通常は新作映画がトップになるようですが、公開から5ヶ月後のトップは極めて異例とのこと。やはりアカデミー効果は絶大ですね。

今月18日に発売されるDVDもすでに、受注数が目標の10万枚に達したとか。「納棺夫日記」の単行本も文庫本も増刷に次ぐ増刷だそうです。すごいブームになっていますね。

2月26日のNHKクローズアップ現代でも「おくりびと」と直木賞を受賞した天童荒太さんの「悼む人」(いたむひと)を取り上げていました。宗教学者の中沢新一氏が、今、「死」を扱った映画と本が人々に受け入れられている理由を解説していました。

古来、日本の文化の根底には、死者との自然な交流があり、お盆やお正月には亡くなった人を迎え、もてなす風習があった。

人の死に際しても、形を整えて送り出す「型」があり、それが文化・道徳・倫理観の基礎となっていた。

納棺は残された人の死者に対するわだかまりをほぐす儀式として必要なプロセスであり、そこから残された人が死者を客観視できるようになる。

死を避けるようになっていた日本人の心の変化を感じる。死を通して生を考える人が増えてきた。「時が変わってきた」

経済も政治も、日本全体が自信をなくしているような現在。その中で、自分が納得できる生き方を求める人たち、特に若い人たちが増えているのも事実。「新しい時代」へのきざしが生まれてきている、そう信じています。

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