2014年10月2日木曜日

「しずかさや・・・」

「閑(しず)かさや岩にしみ入る蝉(せみ)の声」

あまりにも有名は芭蕉(ばしょう)の俳句。

この俳句に読まれた蝉は一体何匹?会場の参加者に問いかけたのはアーサービナードさん。完璧な、というより信じられないほどの日本語能力を発揮するアメリカ生まれの詩人です(肩書きを一つにするのはとっても無理。数年前、京都での講演会でその明晰さに感激していた私です)

たくさんの蝉が鳴いている状況と静寂さを対比した俳句であると解釈した人や、一匹の蝉が静寂の中で鳴いていると言う人もあったとか。「正解は誰にもわからない。だけど、英語に訳すなら、蝉を単数にするか、複数にするか、必ず選ばなくてはならない。大切な部分を読者の解釈に委(ゆだ)ねるのが日本語のすごいところだと感じる」とビナードさん。

私たち日本人にとって、日本語を話す時に、単数複数の概念が乏しいのは事実ですが、「外の世界」から日本語に入ってきた人にとって、それはとても不思議なことのようです。

全く異質の言語を学んで理解することのおもしろさは、こんなところにもあるのでしょうね、きっと。

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