2010年10月26日火曜日

スクープ

特ダネという意味の「スクープ」。他社に先駆けて報道することを意味します。

24日のNHKスペシャルのタイトルは「奇跡の生還・チリ鉱山独占映像が語る地下の真相」。NHKの独占映像は、地上から物資を送り込む直径10センチほどの筒を通して届けられたビデオカメラによって撮影されたものでした。

生 還した3人の鉱夫の証言と映像を組み合わせた番組は、地下625メートルで生きぬいた33人の人たちの日々をなぞります。8月5日の事故後、地上と連絡も 取れず食料も底をつくほぼ2週間。死を考える日々から一転して「助かる」という希望が生まれた、地上にメモが届いた8月22日。その後、物資を通す筒が開 通してからは、暖かいパスタまでが届けられていました。(味はまあまあだな・・・・と言いながら食べていましたが)

簡易ベッドが並ぶ地下のシェルター。救出がいつになるのか知らされないままに過ごす不安定な日常で、こころの平安を得るために全員で行う日に2回のお祈りの時間。テレビ電話で順番に家族と話し合う姿。映像の持つ伝達力のすごさを感じること大でした。

そ して、番組の最後に、現地で事故後2ヶ月間取材した記者のリポートがありました。救助を待つ家族の取材を続けたその記者は30代前半ぐらいの女性でした。 彼女自身、厳しい環境での取材だったはずです。一人で取材をしていたわけではないとは思いますが、今回の「スクープ」となったビデオカメラを地下に届け、 撮影を依頼したのは彼女だったかもしれません。世界中の報道機関が集まった今回の事故現場の混乱の中で、地下のビデオ映像を手に入れることの難しさ。これ も、想像を絶することだったはずです。

私たちが目にする報道は、報道する人たちの「編集意図」に基づいて作られるのですから、見る側にはいつも客観的な態度が必要です。ですが、今回の映像は、見ているだけで高温と湿気で息苦しくなるような緊迫感がありました。

だからこそ「スクープ」ということばがタイトルに添えられたのですね。

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