広い部屋の端に立って、「向こう側」でこちらに背中を向けて立っている人に呼びかけます。立っている人は本当に「呼びかけられた」と感じたら振り向きます。もちろん大きな声を出さないといけません。でもただ声が大きいからといって、相手が振り向いてくれるとは限りません。
竹内さんは「呼びかける人のからだが劈(ひら)かれていないと、本当にことばは伝わらに」と言います。相手に話しかけるとは、相手に働きかけ、相手を変えようとすることだからです。もちろん「自分の思う通りに変えてやろう」ではありません。
自分の思いを言うだけでは本物の会話は成立しない。からだ全体、こころも含めて話しかけなければならないのです。
幼少期に耳のトラブルで「聞こえない」経験が長かった竹内さんが、聞こえるようになってから、人々の会話がことばを投げ合っているだけに感じたことが、その後の活動の原点だったといいます。
聞こえることが当たり前として、単にことばを届けるだけでなく、まず自分を「劈く」こと。そこから本当の会話がスタートするようです。
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