小さな町の中のこと、不採用になった女性達にとって、そして家族にとってその事実は周りの人たちからの目が気になる、辛い出来事でした。数ヶ月後、追加募集をした時、不採用になった人たちが再度応募してきたというのです。どんなことがあっても頑張るから、採用してほしい、そう懇願する女性たち。
織りには不向きであるのはわかっているのですから、何か他のことを考えないといけません。そこで伊豆蔵さんは、非常に複雑な古代の組の技術で帯を作ろうと思い立ったといいます。それをその10人の女性の仕事としようとしたのです。地味で根気のいる仕事を彼女達は毎日毎日取組んでいた、といいます。
彼女達が作った帯が商品になるまでには3年近くの時間が必要でした。その間、伊豆蔵さんは辛抱強く待ち、それに応えようと必死に取組んだ女性達でした。
このエピソードを聞いたとき、その人の持っている可能性を引き出すことの素晴らしさを思いました。不器用だからと言って切り捨てるのではなく、時間をかけて見守る。経営者としての伊豆蔵さんの大きさを感じたものでした。
効率一辺倒ではない仕事作り。今の世の中では難しいことでしょう。でも、だからこそ、どんな人にも合う仕事が探せる場が与えられたらと思うのです。
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