2013年6月22日土曜日

「舟を編む」

「右」ということばを、どう説明しますか?

映画「舟を編む」(原作、三浦しをん、2012年度「本屋大賞」受賞)で耳にした質問です。普段何気なく使っていることばを説明しようとすると、それが簡単なことばであればあるほど難しいもの。

映画の中で、主人公は「北を向いた時、東にあたる方向」と言い、辞書編集作業の中で、監修の老国語学者は「数字の10のゼロのあるほう」と言っていました。手元にある高校時代から使っているボロボロの国語辞典は「日の出るほうへ向かって、南のほう」という説明です。

辞書づくりとは、言葉を集めて一つ一つに説明を付けていく作業。それは約24万語の言葉を集めた辞書であっても同じこと。気の遠くなるような作業の連続で、完成まで十数年かかるのが当たり前・・・

監修者や編集者の意向で選ばれる言葉によって、辞書はそれぞれに特徴が現れ、説明の表現も多種多様。

電子辞書やインターネット検索で簡単に言葉の意味を探しだしている昨今。ても、紙の辞書の「おもしろさ」は味わうことはできません。言葉の海にのんびり船出できる時間も必要なのでは、と思いました。


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