2009年8月28日金曜日

ペシャワール会

オバマ大統領が当選したとき、他国のことながらこころが弾(はず)んだ私です。何か新しいことが期待できる気がしました。ですが、イラク撤兵計画とセット でアフガニスタンでの兵力増強を政策として打ち出したことに、とても違和感を覚えました。テロ対策というものの、また同じことを繰り返すのか・・・・と。

ペシャワール会 のことをご存知でしょうか?去年の8月26日、この会のメンバーだった伊藤和也さんがアフガニスタンで殺されたことが大きく報道されました。

ペ シャワール会はアフガニスタンで26年間支援を続けるNGOです。医師の中村哲さんを中心に医療援助活動からスタートし、各地に井戸を掘り、農業指導へと 地道に活動の幅を広げてきた団体です。この会の活動方針の転換は「飢えや渇きは薬では治せない」と痛感したからだといいます。

全長24キロの用水路を6年がかりで完成させ、乾ききった大地に麦が育つまでになっています。現地の人たちとこころを合わせて、人海戦術で掘り進んだ用水路。文字通りの「いのちの水」が流れます。

現在もアフガニスタンの治安は「最悪」と言われる状態です。去年の伊藤さんの殺害事件をこころから悔しがったのは多くの現地の人たちでした。過激派によって、自分たちのためにいのちの危険を顧(かえり)みずに活動していた人が殺されてしまったのですから。

中村医師も「村人に守られて指導を続ける」状態だそうです。どんな時にも緊張を強いられる状況です。

「もしも人々の足もとに埋められたのが地雷ではなく小麦の種であったらな、数百万のアフガン人が死と難民への道を辿(たど)らずにすんだでしょう」 アフガンを舞台に映画を撮ったイラン人監督、モフセン・マフィマウバフ氏のことばです。

力ずくでテロを押さえ込むのが、全く意味がないことを世界は学んだはずなのに・・・現地の人にとっての本当の「アフガン復興」が何であるか、各国はそれを真剣に考えるべき時がきているようです。

今朝の朝日新聞に、JICA理事長理事長の緒方貞子(おがたさだこ)さんへの「アフガン再建」に関するインタビュー記事がありました。その最後に「自分の国が、一番得意な面で支援する」ことの大切さが書かれてありました。

ペシャワール会の長年の活動の継続、そのための支援。私たち一人一人も「自分のできること」を考えたいものです。

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