久しぶりに体調を崩してグズグズ過ごしていた土曜日の午後、NHKの衛星放送にひっかかりました。「激動の世界をゆく:メキシコ」
学生時代を過ごしたサンディエゴの南に位置するメキシコ国境の町、ティファナが出てきました。アメリカの家族とこの国境を越えてよく遊びに行った町です。
検問所を越えただけで、アメリカとは全く雰囲気の違う埃っぽい町となることに、いつも「国境」の不思議さを感じていた私でしたが、レストランの陽気な楽隊やしっとりしたアンティークの店など、お気に入りの場所を楽しんだものでした。
そのティファナにある、アメリカへ入国しようとする人たちのためのシェルターの映像がでてきました。正式なビザは持たない、不法移民としてアメリカへ向かおうとチャンスを狙っている人たちです。自分の将来がどうなるのか、全くわからないまま、ただただ「アメリカへ行ければ」と思い続ける人たちです。
メキシコ、イコール不法移民や国境の壁などというマイナスイメージのエピソードだけではなく、番組の後半ではメキシコ人の陽気でかつしたたかな日々の生活を紹介します。スペインに侵略された歴史の中でメキシコ人としてのアイデンティティをしっかり確立した人たち。1968年のメキシコオリンピックがこの国の発展の大きなきっかけであったことも紹介されていました。
ティファナの郊外に作られた国境の壁のメキシコ側で、壁に絵を描いている人たち。「人を隔てる壁であっても、私たちにとってはキャンバスです」という人たち。小さな穴の向こうから、アメリカの国境警備隊に「何をしているのか」と聞かれて、「絵を描いている仲間です」と答えるリーダー。人間が作った国境に壁はできたけれど、地面はずっと続いているのだ、あちらとこちら、何も違わない・・・そんな気持ちが伝わってきました。