2012年6月9日土曜日

館野泉さん

けやき便り: 左手のピアニスト: 2011年2月27日

左手のピアニストとして復帰した館野泉(たてのいずみ)さん、来年11月の喜寿のお誕生日までに16回のコンサートシリーズ「左手の音楽祭」をスタートされたとか。Izumi Tateno

左手の5本の指だけが88の鍵盤上を 動くのですから、普通に弾くよりも、からだを大きく動かさなければなりません。普通のピアニストとは違うからだの軟らかさや持久力も必要で、左手だけの特別のテクニックもあるといいます。

コンサートピアニストとして名声を博していた館野さんです。脳梗塞で倒れたあと、少しずつピアノが弾きたいという思いが強くなっていきました。ですが、それは右手が回復して、両手で弾くことを考えていたのです。ですが、右手の回復が思うようにならないことがわかってきた頃、左手のためのピアノ曲の楽譜を目にし、一瞬で「これをやろう」という強い感情が湧いてきたのだそうです。

既存の左手のための曲だけでなく、多くの作曲家に新しく左手のための曲の作曲を依頼し、演奏を続けている館野さん。「左手の音楽祭」を通して、館野さんはその豊かな世界を知って欲しいと願っていらっしゃるのです。左手だけのピアノは 決してハンディを持った人の音楽ではなく、それには音楽のエッセンスが詰まっている・・・と。

 ピアノが弾けなかった空白の時間があったからこそ、この豊かな世界にたどり着いた、テレビでそう語る館野さんの声が一瞬詰まりました。音楽が表現できる幸せをこころから感じていらっしゃるアーティストの姿がそこにありました。

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