2009年12月12日土曜日

It's His War Now

これは今週のTimeの表紙にある文字です。「今や彼の戦争だ」 

アフガニスタンへの派兵増強を決断したオバマ大統領。この戦争が「彼の戦争」となってしまったということなのでしょう。

オバマ大統領の就任演説で、イラクからの撤退を表明したあとに、アフガニスタンでの戦争を正当化した発言にザラっとしたものを感じた私でした。

そして今年のノーベル平和賞授賞式での彼のスピーチを読んで、一層「わからなくなった」気分です。

大国アメリカのトップとして、国益優先であるのはよくわかります。アメリカで、銃砲関係の大きな展示会で通訳をしてきた私自身、9・11以降、アメリカの「軍事産業」がより大きくなってきているのを感じていました。不気味な展示がとても増えていたのです。

テロリストを「敵」として、アメリカを守るために戦い続けるというのでは、ブッシュ前大統領と何ら変わりはありません。それがアメリカの大統領の宿命なのでしょうか。

「世界に邪悪は存在する」と断じたそのことばは、「平和」のイメージからはほど遠いと思ってしまいます。

今日の朝日新聞の夕刊のコラム「窓」に、「やっぱり早すぎたのではないか」という書き出しでオバマ大統領の平和賞受賞演説への感想が書かれています。

昨年夏、アフガニスタンで殺害された「ペシャワール会」の伊藤和也さんが撮影した、現地の子ども達の顔が今も目に焼き付いている。「窓」の筆者はこう書き記します。

増派されるアメリカ兵も、現地の人たちも、心休まる時はないのでしょう、このままでは・・・

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以下は平和賞受賞スピーチの一部です。(朝日新聞の昨日の夕刊に全文の翻訳が出ていました。英文はNew York Timesのウェブから引用しました。)

So yes, the instruments of war do have a role to play in preserving the peace.

戦争という手段に平和を保持するための役割があるのだ。

I understand why war is not popular, but I also know this: The belief that peace is desirable is rarely enough to achieve it. Peace requires responsibility. Peace entails sacrifice.

戦争がなぜ不人気なのはわかっている。だが私は同時に、平和が望ましいという信念だけで平和が達成できることはほとんどあり得ないということを知っている。平和には責任が必要だ。平和は犠牲を伴う。

The non-violence practiced by men like Gandhi and King may not have been practical or possible in every circumstance, but the love that they preached -- their fundamental faith in human progress -- that must always be the North Star that guides us on our journey.

ガンジーやキング牧師のような人々がとった非暴力は、如何なる状況においても現実的でで可能だったとは言えない。しかし、彼らが説いた愛・・・人間の進歩に関する彼らの根元的な確信、それこそが、常にわれわれの行く手を導く北極星であるべきなのだ。

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