私がフルタイムの仕事をスタートさせた時、最初の大仕事が工芸家の方々の展覧会の企画でした。京都市左京区在住の伝統工芸展の重鎮たちに出品していただきました。
その中にいらしたのが、5代目早川尚古斎(はやかわしょうこさい)さん。背の高い、いかついいお顔に、最初は少々気後れしていたのですが、お話すると、とにかく楽しい。ダンディなおじさまとすっかり仲良くなった私でした。
早川先生に「私のお給料一ヶ月分で先生の作品をいただきたい」とお願い。2005年には人間国宝にもなられた大先生に、なんとも不躾なお願いをしたものです。「色も形も全てお任せします。花を気楽に活けられる籠をお願いします」
数ヶ月後手元に届いた籠。私の宝物。
2011年にお亡くなりになった先生。名前を継ぐ6代目は存在せず。「こんな手間暇かかることは息子にもさせられんからな・・・」とおっしゃっていた先生。昔は多くの職人に支えられていた竹工芸(ちくこうげい)も、現代では作家自ら竹を切り出し、竹を割って、色をつけるなど、全ての工程を一人でしなくてはいけないとのこと。
「昔は日常品だった竹工芸は、日本ではなかなか芸術とは認めてもらえないんだよ」とおっしゃっていた先生の作品は、当時でも海外では美術館に収蔵され、コレクターが買っていたようです。
「精巧な竹工芸 海外も魅了」という朝日新聞の記事。
そうなんですよね。早川先生、もう少し長く生きていてくださったら、先生の作品、もっともっと見せていただけたのに・・・私の宝物、楽しんで使っていますよ。これからも大切にしますね!
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