2012年2月13日月曜日
手書き
アメリカ在住の娘が新しい仕事のインタビューを受けました。日本語の文章を読んで必要なところを英語でまとめるDocument Readingという仕事です。法的内容を含むので、弁護士資格を持つ娘は、他のスタッフよりも高い時給がもらえる仕事です。
インタビューの中で、紙に書かれた日本語を読んで、その内容を英語にするように、と言われたその文章は「手書き」だったそうです。そのプロジェクトの求人にそれまでに応募してきたのは、日本語が使える(ほとんどは話せる程度)のアメリカ人弁護士たち。彼らが勉強した日本語は全て印刷されたもののはず。「手書き」の文章は誰一人読めなかったとか。
2月4日の朝日新聞天声人語に、今年届いた年賀状の中で、宛名書きも裏も印刷だけで、自筆の文字がないものが4割もあった、と書いてありました。年賀状発送サービスに依頼すると、印刷・投函、全てを他人任せにできる時代。差出人を全く感じることができない賀状が増えたということなのです。
この天声人語には、作家の自筆原稿の持つ迫力についても記してありました。原稿用紙のマス目を一つ一つ埋めていく作業の繰り返しから生まれる表現には、簡単にキーボードから打ち込まれることばとは違っているはずです。
タイプライターの時代から長年キーボードを打ち続けてきた私にとって、手書きよりも、ずっと早く文章 が作れることを「便利だ」と感じています。ですが、天声人語にあった「言葉のインフレ」という表現がとても気になりました。
一つ一つの「ことば」に、本当に自分の「こころ」を込めて書いているのか、打ち込んでいるのか。改めて自分に問いかけています。
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