2011年9月23日金曜日
「書く」から「打つ」へ
「ねぇねぇお母さん知ってる?コンピューターって“かじったりんごさん”がついてるんだよ」と娘が私に教えてくれました。アメリカ生活に慣れてきた、1980年代半ばのこと。
シカゴ郊外の公立小学校には、「かじったりんごさん」、つまりアップル社のコンピューターがあり、こどもたちはごく自然にキーボードに親しんでいきました。
日本語へ転換するワープロ機能の向上とともに、アメリカ生活が長くなった息子や娘にとって、日本語はほとんどの場合「書く」ものではなく、「打つ」ものとして身につけていきました。コンピューターがあればこそ、日本語能力保持が可能だったのかもしれません。
現在、私もほぼ「打つ」生活となりました。翻訳もコンピューター上でやれるからこそ、対応できる、そんな状況です。文章を「打って」「読み直して」「手直しして」、と一連の作業が全てキーボードを打ちながら進んでいきます。まさしく「打つ」という「作業」をしているのです。
朝日新聞の天声人語の書き写しノートがあるのを知って、思い立って「手書きの時間」を始めてみました。全文603文字を書き写すには約20分かかります。句読点を抜かしたり、思い込みで読んでいたり、集中しているつもりでも間違えることがたびたび。
ですが20分間の「書く」作業を続けると、終わったあと気分が変わるのが不思議です。カタカタとキーボードを打ち続ける20分とは何だか別の時間を過ごした感じです。ちょうど深呼吸をしたような、そんな気分を味わうことができるのです。
「打つ」から「書く」へ、頭のトレーニングも兼ねて手を動かすのはいいようです。みなさんもいかがですか?
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