息子がシカゴの高校に入学をしたのは1989年の秋。彼の入学準備に家族揃ってアメリカに行った8月、サンフランシスコの入国審査でのこと。
「アメリカ入国の目的は?」
「息子の高校進学のためです」
「ほう・・・教育は日本の方がレベルが高いんじゃないの?わざわざアメリカで高校に通わせるの?」
「彼は小学校時代もアメリカにいたので、アメリカでの勉強を選んだんです」
「そうなんだ。Good Luck!」
今まで数え切れないほど、アメリカの入国審査を受けていますが、この時の男性審査官ほど、気さくに「無駄話」をしてくれた人はありませんでした。
時は移って現在、日本の高校生が卒業後、直接海外の名門大学を目指すための塾ができているという記事がありました。学費は選択科目によって年間150万~300万円!コースの名前は「ルートH」つまり「ハーバード大学への道」という意味だとか。
ハーバード大学は、2008年の大学ランキングで「世界一」。東京大学は19位、京都大学は25位。日本の大学ではなく、ハーバードをはじめとして、海外の有名な大学を目指す優秀な(かつ資金力のある)生徒が出ることは、日本にとっても望ましい傾向なのかもしれません。
日本人のスポーツ選手の多くが海外で活躍する姿を見ている現在の高校生にとって、外国で学ぶことは、事情が許せば特別なことではなくなっているのでしょう。世界に通用する人材が多く生まれる社会がそこまできているのだとすれば嬉しいことです。
ですが、何が何でも海外へ子どもを送り出そうとする傾向には疑問を持ちます。まず親が、子どもがどのような教育を受け、どのように育って欲しいのか、それが子どもにとってふさわしいことなのかどうか、じっくり見極める必要があるように思います。単に外国語が話せるようになりたいとしての留学で、青春を棒に振ったり、行き先がなくなってしまった人たちも数多くいるのですから・・・
「ルートH」の記事の中にこんな一文がありました。
「進学先として、ごく自然に欧米の大学も選択肢として考えられる環境を日本の中で整えるのが理想だ。大学を選ぶ過程で自分の幸せを考えられるようになったらいい」
その通りですね。我が家においての「進学先選び」が良かったのかどうか、一度息子に、そして一年後に同じ高校に入学した娘に聞いてみたいと思います・・・
0 件のコメント:
コメントを投稿