2013年5月1日水曜日

芝居ごころ

認知症の人の介護は、芝居ごころが大切、と母の自宅介護を始めようとしていた時に読んだ本にありました。認知症の人の世界に入って、そこでお芝居をする、つまり、認知症の人の世界を否定しないことが大切だというのです。

頭では理解していたつもりでした。ですが、現実には「わけの分からない」母のことばをついつい「否定」したり「無視」したり。家族とは冷たいものです。


デイケアで認知症のおばあさんに素晴らしいケアをしている人を見かけた、と新聞のコラムが始まっていました。おばあさんのトイレ介護も、ゆっくり付き添い、静かに見守っている姿は、「さすがプロ!」とこの見学者に思わせたとか。

ところが、この「介護者」も認知症の方だったそうです。徘徊癖があり、日中一人で家にはいられないのでデイケアに通ってきている。本人は認知症という認識はないから、デイケアへは「手伝い」に来ていると思っている。職員として働いているつもりなので、出勤簿もつけていて、職員としての雑務もこなしている。

職員としか見えないことの方を、他の認知症の人たちも、職員と思い込んで世話になっているのだそうです。

「どこが認知症なのかわからない普通のふるまいができる処遇、それが認知症ケアの神髄なのだと思う」とこのコラムの著者は締めくくりました。

芝居ごころに乏しかった私は反省が残るばかりですが・・・


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