2011年5月26日木曜日

心の傷

東日本大震災の死亡者数は警察庁のまとめによると、5月25日現在15,217人。このうち身元確認ができた人数はどれぐらいあるのでしょうか。行方不明の家族を捜して、身元を確認する作業は、遺族にとってどれだけ辛いことか。

そして、その場に立ち会っての遺体確認や引き渡しを続ける多くの地元の公務員、警察官など、その方々のプレッシャーはいくばくか、と思います。災害救援に従事する人が心に負う傷を「惨事ストレス」というそうです。asahi.com宮城県警警察官、精神疲労訴え 「夢の中で遺体数える」

京都府警から、震災二週間後に宮城県石巻市の遺体安置所に派遣された警部補が新聞で紹介されていました。

今年1月17日、京都府警は日赤京都府支部と合同で「大災害対応訓練」を実施しています。大勢の犠牲者の検視と遺族への対応を研修の柱にしたものでした。

災害時の警察官は、捜索から検視、引き渡しと、人の死に関わり続けます。その折の心の傷についてそれまで考えたことがないと、気づいたある警察官の企画でした。模擬安置所を体育館に作り、日赤の看護師たちが遺族に扮して、対応する警察官に怒りをぶつける、そんな場面が繰り広げられました。

上記の警部補は、石巻の遺体安置所での任務中、現実の厳しさに戸惑いながらも、「次に自分の心がどうなるかがわかって対処できた」のだそうです。たった二ヶ月後に訓練が現実のものになるとは、誰も想像していなかったことでしょう。

「死」は一人一人のものであり、決して「数」で語るものではありません。ですが、その「数」が一度に生じた時、その対応は今までに考えてもいなかった状況となります。今回の京都府警の経験は、今後の「惨事ストレス」対応へのヒントになることと思います。

突然の業務の中で生まれた多くの心の傷に、柔らかいかさぶたができてきますように。

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