2012年11月18日日曜日

ライトアップ卒業

(Photo by Shinichi Komatsu)

11月も半ばになると京都の紅葉の名所は観光客であふれかえります。90年代前半から夜間にも紅葉鑑賞ができるように、とライトアップが増えました。昼間だけでなく、夜も京都の名所はにぎやかです。

ですが・・・「始めた当時は、インパクトが大きかったが、こんなにライトアップ寺院が増えるともう目立たない」という理由で、ライトアップを卒業するところがでてきた、という新聞記事がありました。

「長年、光を当ててきたためか、少し木が弱ってきて、かわいそうになった」とおっしゃる、ある住職のコメントも。

今読んでいる本の中にもこんな文章が・・・

「桜も紅葉も、夜になって人工的な明かりを当てられて、喜んでいるのだろうか。僕はきっと否だと思う。城や建築ならまだしも、木は生きものである。生きものであるかぎり、朝は目覚め、夜は眠りに就くというリズムを持っているはずだ。だからこそ、その一年の繰り返しの結果として、花を咲かせ、葉を色づかせるのだ。眠りに就こうとしている木に煌々(こうこう)と明かりを当て、さらにはそこにフラッシュを当て、しばしば嬌声(きょうせい)を上げる。安眠できるわけがないだろうと、木の身を案ずるのだ。

闇夜にうっすらと浮かぶ桜や紅葉ほど美しいものはない。〈夜目遠目笠の内〉(よめとおめかさのうち)と言うではないか。陽が沈めば、そっとしておくのが一番いい。」

「おひとり京都の秋」 柏井壽著(光文社新書)




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